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「あたしがそのバイトやってみたかったなぁ」
茜はそう言い、残念そうに唇を尖らせる。
あたしは自然と頭の中で真っ赤なドレスに身を包む茜の姿を想像していた。
そして、思わずポッと赤面する。
あたしより背が高くて胸も大きな茜なら、きっとあのドレスが似合うだろう。
女のあたしが想像しただけで赤面してしまうんだから、間違いない。
だからこそ、そんな姿を野田さんに見せるワケにはいかない。
「ダメ、無理、やめた方がいい」
キッパリと言い切るあたしに、茜はため息を吐き出した。
そんなに幽霊が見て見たいのかな?
実際に見て腰をぬかしてしまったあたしには茜の気持ちは理解できない。
「やっぱり無理かぁ……なんかそういう変なバイトってあたしよりマオリに向いてるって感じだもんねぇ」
悪気なくそう言う茜にあたしの笑顔はひきつった。
変なバイトに向いてるってどういう意味だ。
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