第二話

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あたしは部屋着から動きやすい格好へと手早く着替えをして、スマホをポケットへねじ込むとそっとドアを開けた。 2階の廊下には誰もいない。 耳をすませてみると1階からはテレビの音と両親の笑い声が聞こえてくる。 今日は木曜日。 そして時間は午後9時半。 両親が見ているのは毎週放送しているお笑い番組だと、すぐにわかった。 あたしも大好きでよく一緒に見ていたからだ。 今日は勉強という仕事があったため偶然2階にいたけれど、それが幸と出た。 テレビを見ている間に野田さんから電話があっても、外出することはできなかっただろう。 あたしは息を殺して階段を下りはじめた。 階段を下りて目の前が玄関。 リビングから誰かが出てきても、階段にあたしがいる事には気が付かない。 でも、階段の真横にある廊下から玄関とリビングが通じているため、玄関を出ようとしている姿は完全に見えてしまう。 あたしは慎重に足を進ませて階段を下りきった。 階段から少し身を乗り出してリビングのドアを見る。
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