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☆☆☆
それから数十分後。
あたしは事務所で麦茶を飲んでいた。
ここまで休まずに走ってきたため、喉はカラカラだった。
「あーおいしい!!」
空になったコップを机に置いて思わずそんな声を出す。
緊張感は一気にほぐれて、ホッと胸をなで下ろした。
「来なくていいって言ったのに」
あたしに麦茶を出してくれた野田さんはムスッとした表情でそう言った。
なんだか少し不機嫌そうだ。
「あたしに電話をしてきたってことは、野田さん1人じゃ変態扱いされる可能性があるからでしょう?」
1度目の仕事の時に、野田さんは自分が不審者として見られないように、あたしがひつようで雇ったのだと言った。
「まぁ、そうだけど」
それでも野田さんはムスッとした表情を崩さない。
どうしてだろうかと考えてみると、そういえば野田さんを怒らせていたことを思い出した。
「野田さん、まさかまだ怒っているんですか?」
そう聞いてみると、野田さんはあたしから視線を逸らせた。
どうやら図星らしい。
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