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この部屋の奥にはまだ見た事のない大人の世界が広がっている。
見てみたいと言う好奇心はあるものの、見知らぬ男女の関係を覗くほど悪い趣味は持っていない。
野田さんとは違うのだから。
「マオリちゃん、君はバイトをしに来たんだろ? だったら俺の仕事を手伝ってくれ」
「今日は来なくていいって野田さん言ってたじゃないですか!」
「でもせっかく来たんだから!」
そんなやりとりをしていると、玄関先での異変に気が付いたのか足音が2つ近づいてきた。
ハッとして振り返るあたしと野田さん。
や、やばい。
今回は相手には男性が一緒にいる。
野田さんみたいな貧相な体格じゃきっとかなわない。
勝手にドアのカギなんて開けて、入って来たなんてバレたら……。
顔面蒼白になった瞬間、体格の良い丸刈りの男性が怪訝そうな顔をして出てくるのが見えた。
終わった……。
男性はあたしと野田さんを交互にみて「誰だお前ら」と、巻き舌を使って威嚇して来る。
彼女との楽しい時間を見知らぬあたしたちに邪魔されて、相当ご立腹の様子だ。
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