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「へ……部屋を間違えました!!」
あたしは咄嗟にそう言い、走り出そうとする。
しかし手首はしっかりと野田さんに握られたままなので、こけそうになっただけだった。
「の、野田さん、今日はやめときましょうよ! タイミングが悪いです! 『返す』のはまた後日にしましょう!」
あたしは小声で怒鳴るという器用な事をして野田さんを説得した。
しかし、野田さんはまっすぐに男性を見たまま目をそらさない。
その横顔は男性を睨んでいるのではなく、切なく見つめている。
という感じだった。
え?
まさか野田さんってそういう趣味もあったの?
なんて思っていると、男性の後ろから細身の女性が姿を見せた。
彼女を見た瞬間、「あ!!」と、あたしは思わず声をあげてしまった。
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