ばったり

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「そんなことムリですよ、師匠」 タック君が大きなため息を吐いてそう言った。 「なんでや、いっつもオカルトもんの本読んでない時は、探偵もんの本読んでるやん ちゅうか本しか読んでないやないかコラ うちのことももっと構えやコラ」 マキちゃん巻き舌になってるよ というかタック君にあんまり構ってもらえてないんだ…… 「お言葉ですが師匠、毎朝モーニングコールをかけてパルナスかサンガリアのCMソングを歌って、学校のある日は休み時間毎に551のある時~ない時~などの寸劇にお付き合いして、お休みの日にはVシネか新喜劇の夜も師匠鑑賞会。夜は師匠が眠くなるまで電話でノリツッコミの応酬……これ以上どう構えばいいんでしょうか?」 お、おう…… これも束縛彼女ってやつなんだろうか? 「うっさいわ! イヤか?この文化的な生活がイヤなんか?」 「イヤというわけじゃないですけど、一般的に男女交際ってこういうものだったかなあと僕も時々考えたりはします」 考えるまでもなくそういうものじゃないはずだよ。 でもその疑問すら時々しか抱かないなんてタック君は人格者だな。 「よーし、分かった。 そんなに言うんやったら、この推理クイズで見事サトルはんに打ち勝ってみぃ! そしたらタックのイメージする一般的な男女交際ってやつも検討してみたる!」 マキちゃんは顎をぐいっとあげてそう言い放った。 でも検討するだけなんだね。 「わかりました。 やるだけはやってみます。 でもミステリを読んでるから推理が得意なんてことはありませんから、本当に期待はしないでくださいね」 「返事はイェッサーやといつもいうてるやろ」 「イェッサー!」 「よろしい」 うーん、付き合う前よりもタック君の扱いが酷くなってるような…… まあこれも、カップルとして見られることへの照れ隠しで、二人っきりの時はまた違うんだと思う。思いたい。
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