あきつしまの龍王

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あきつしまの地上では、トキの母、 健礼門院徳子が、小さなお堂で祈っていた。 お堂のそばには小さな小川がある。 想いを水にのせる。 水はいたるところを巡り、祈りを運んでゆく。 山の間を流れ、泉としてわきだし、 池になり、湖になり、海にそそぐ。 水は、木や草や花、魚や鳥、 そして人のあいだを網の目のように流れ、癒し、祓う龍脈。 海に囲まれたあきつしまは、龍のかたち。 龍のかたちに生まれ、龍が守る国。 (了)
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