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「ときひと様、いえ龍王女さま、
また仕えられて嬉しゅうございます」
みな、泣き笑いしていた。トキも嬉しくて、
手を取り合って喜んだ。やがて、トキの隣に、
ぽんっと大きな泡があらわれた。
泡の中から懐かしい声で「トキ!」と声がした。
泡がしゅっと消えて、出てきたのは二位の尼だった。
「ばばさま!」
トキは二位尼に抱きついた。
「海の底でなかなか体がねむりにつかず、
遅くなりました。トキはちゃんと龍に
もどれたのですね。よくがんばりました」
「ばばさま、ばばさま」
またひときわ大きな歓声とともに、
ふたりの周りで、みなひらひらと踊りはじめた。
いつのまにか笛や太鼓も鳴らされて、
大通りはお祭りのよう。
トヨタマ姫さまが、
「龍宮城にもご用意が……」
と言いかけたが、あきらめたように
ほんのりと笑って、少し浮かんで華麗に舞い始めた。
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