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涙が出そうになった時、奏さんに頭を優しくポンと撫でられた。
「大丈夫か?」
「…ん」
涙目の顔を上げると奏さんと目が合った。
「歩けるか?前に進むぞ」
暗闇の中、奏さんのシャツの裾を握りしめて歩くと、薄明かりが途中で見えて大きな鏡が壁に掛かってた。
鏡?
奏さんが映ってる。わたしの姿も……
その後ろに白い着物を着た幽霊が…
ひっ!
振り返れない。
首に何か冷たいものがふれて背中に忍び込んできた。
「キャアアッ、…背中にっ!ゆ、幽霊…っ、入ってっ!!」
背中に冷たい幽霊の手が入ってる。
奏さんの胸にしがみついて取ってって叫んだ。
幽霊の手がわたしの背中をまさぐってる!
「りお?」
「お願いっ!せ、背中にっ!…奏さんっ」
動くと幽霊の手がさらに背中を撫でて、必死で奏さんにしがみついた。
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