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奏さんの手がわたしの背中に触れる。
ドキン
心臓が壊れそう。
奏さんの心臓の音も聞こえてきて、どうしていいのかわからなくなる。
背中に回された腕に、奏さんに触れているその胸に意識が集中する。
ドキン
顔が熱い。動けない―――
「…よく見ろよ。おまえの言う幽霊の正体ってのはな。これだ」
奏さんがため息をついて背中から引っ張り出したもの。
それは、
「…こ、こんにゃく?」
滑りをつけた…白くて弾力のある四角いもの…こんにゃく―――
「おっと!」
足に力が入らなくなって膝が崩れ、奏さんが体を支えてくれた。
気が抜けて奏さんの腕にもたれると、心配げにわたしの顔を覗き込む奏さんと目が合った。
「…大丈夫か?」
頷く。
ホッとして奏さんのシャツを掴むと、奏さんはピクッと身動ぎした。
「あまり動くな…襲うぞ」
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