フィーリングカップル5VS5

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すぐ近くの空き部屋にわたしを押し込むと背中で戸を閉めた。 「…ありがとう、奏さん」 おばけ屋敷で叫んだことや、奏さんにしがみついたことを思い出して恥ずかしくなる。 乱れた服を直すと奏さんに借りた上着を返した。 戸口で待ってくれてたその表情は冷たさのある瞳じゃなくて温かい、いつもの奏さんとは違って見えた。 「……りお、その猫耳な似合って…」 ガラッ 「りおちゃん、いる!?もうすぐフィーリングカップルゲーム始まるって!」 奏さんがわたしの頭に手を触れようとした時、順子が呼びにきた。 「予定がちょっと早くなったからすぐ来てって」 順子が時計を見て手招きした。 「行ってこい。約束してるんだろう」 何かを言いかけてた奏さんはいつもの表情に戻ってた。 「奏さん、…じゃあ行ってくるね」 「ああ、」 順子に手を引かれてその場から離れた。 「りおちゃん、行こう!」 なんだか奏さんをひとりにするのが気になって振り返った―――
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