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唐突に体が宙に浮いた。
横から拐われるようにして誰かの肩に持ち上げられる。
「……っ」
わたしを抱え舞台から飛び降りてく人が苦しげに声を震わせた。
「えっ!?花嫁強奪!?」
「キャア、うっそ!!マジ!?」
「樹から拐って逃げたのって、まさかあの人!?」
舞台から、窓から身を乗り出した女子生徒が驚きの声を上げた。
わたしを荷物のように肩に抱えた人の心臓の荒い音が響いてる。
「樹っ?」
「りおっ!」
舞台の上にいた樹の前に仁さんの姿が立ちはだかる。
その脇を掻い潜り、わたしに手を伸ばして舞台から飛び降りた樹の前に榊さんがいた。
校舎の中を早足で歩くわたしを抱えてる人の背中が熱い。
あの注目を浴びた舞台からキスする寸前のわたしを助け出してくれた人。
わたしのファーストキスを守ってくれた人。
よく知ってる人の背中。龍神会からわたしを守ってくれてる人の背中。
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