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屋敷に戻ってきて。
「榊から聞いたが、西高祭でカップルになるゲームに出るのか?」
声を掛けてきた奏さんは大神組若頭で、奏さんの前に飛び出してケガしたわたしの傷が治るまで面倒を見てくれてる人。
「うん、成り行きで出ることになっちゃって」
それもメイド服で。
「……ふ~ん」
不機嫌そうな奏さんはテラスのソファーにもたれ、足を組んでタバコを取り出すと火をつけた。
「………樹も出るのか?」
「え?ん~、もしかしたら出るかも。出てくれって言われてたみたい」
それきり奏さんは無言になって、タバコの煙をゆっくりと吐き出した。
「その西高祭はいつだ?」
「来週の土日だけど」
何かを考えてたみたいで、灰皿にタバコの火を押しつけ消すと携帯を取り出した。
「榊、土日の予定をすべてキャンセルしろ」
ひとこと告げて携帯をソファーに放り投げた。
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