恋人のフリ

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拓己くんはどうやら彼女が帰ってきたらプロポーズするつもりらしく、私との仲を認めてしまうと、上司を結婚式に招待した時に、宮沢くんのことは遊びだったのかってことになってしまうのを恐れていた。 そんな風に人々を欺く目的で始めた恋人のフリだったけど、一緒に帰ったり食事したりしているうちに、私と拓己くんは本当に気の合う友だちになっていた。 で、今では私のマンションに番犬がてら、夕食を食べに来ることも珍しくない。 番犬がてらというのは、以前、うちのマンションに下着泥棒が出没して、独身女性たちを震え上がらせたことがあった。 それで、男が頻繁に出入りしている、男物の洗濯物が干してあることを見せつければ防犯になると、拓己くんが教えてくれたのだ。 下着ドロはすぐに捕まったけど、それから拓己くんはよくウチに来るようになり、私は2回に1回は男物の下着を干すようにしている。 もちろん、拓己くんの下着ではない。
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