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顔型は四角っぽくて、ブサイクではないけどイケメンとは決して言えない。
「中肉小柄で十人並みな顔だよな。性格もアレだし。
どこに惚れる要素があった?」
「そう聞かれると自分でも謎なんだよね。
入社当時は向かいの席だったじゃない?もう毎日毎日、息が詰まって苦しくて。
椎名さんのこと思い浮かべたら、会社行くのが嫌になるぐらいだったんだけど。」
「わかる、わかる。今、僕が向かいの席だから。
あの人の不機嫌オーラ、半端ないよな。」
「そうそう。もう話しかけても無視されるし。ピリピリして向かいに座っているのが辛くて。
でも、3カ月して隣の席になったら、そんなことウソみたいになくなって。」
「え?だって、今だって不機嫌オーラでピリピリしてるじゃん。」
「そう?隣だとそんな感じないけど。
厳しいこと言うのは相変わらずだけど、先輩として的確なアドバイスをしてくれるようになって、いい人だなって思ったら、どんどん好きになっちゃって。」
「早く言えよ。そうしたら恋人のフリなんて止めたのに。
好きな人に誤解されてたら両想いになれる可能性、低くなるじゃないか。」
「可能性ゼロだから、今更いいよ。どうせ恋人のフリもあと3カ月でしょ?それまではちゃんと役目を果たすから。」
「ゼロってことないよ。花菜、かわいいんだし。
まあ、でも、椎名さんはみのりちゃんの方が好きみたいだね。」
他人から見ても、やっぱりそう見えるのかとガックリ落ち込んだ。
みのりちゃんが椎名さんを好きになるとは思えないけど、こればっかりはわからない。
さっきの地震の時だって、椎名さんに甘えるようなことを言っていたし。
「みのりちゃんはもう拓己くんのこと、狙ってないのかなあ。」
元々、私の役目はみのりちゃんから拓己くんを守ることだった。
「最近は誘われなくなったから、作戦成功みたいだな。」
「そっか。」
拓己くんが狙われなくなったのはいいけど、そのかわり椎名さんが狙われたら困る。
「じゃあ、あと3カ月、恋人続行ってことでいい?椎名さんの前ではあんまりイチャイチャしないようにするから。」
「べつにいいよ。今まで散々イチャイチャしてても、何のリアクションもなかったってことはそういうことだよね。」
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