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リオンside
隣ですやすや眠るクロネの頭を少し持ち上げ自分の膝に乗せる
柔らかくはないが、地面よりは良いだろう
初対面のやつなら警戒するのが普通なんだろうがどうにもこいつにはその気が起きなかった
俺の膝の上で寝るクロネの頭を撫でながらフードを軽く引っ張るが魔法をかけてあるのか外れない
まぁそうだろうな
そのまま撫でながらこいつが綺麗だといった景色を見る
確かに綺麗だ
普段国のことや、学園のことに気を取られこういうものを見ることがなかったなと思った
ここは昔俺が頼んで作ってもらった遊び場のようなものだ
もうしばらく来てなかった
というか存在も忘れていたのになぜか来てしまった
でもおかげでなにか大事なものを取り戻せた気がする
「ありがとな」
静かな空間に響いたその言葉は闇夜に紛れ消えていった
一瞬クロネが笑った気もしたが気のせいか
そういえば前に温泉であったレイカー
あんな事言ったが結局仕事が忙しく何も出来なかった
会うことすらもなかった
あいつは授業に全く出ないらしい
じゃあどこにいるんだか
「ぃ・・・っ」
ん?
「いかないで・・・もう、言わないから・・・せめてっ」
急にうなされ、訳の分からない寝言をいうクロネ
さらには涙が流れる
1粒、2粒、それは途切れることなく流れ続ける
拭いたくても固定されたローブが邪魔だ
そのもどかしさが余計に嫌で
魔法の解除を試みた
寝ていることと情緒不安定だからか、少し力を出せば解除出来た
解除されたことにより、外れたフードの中から現れた顔に
「・・・・・・・・・レイカー?」
涙を拭うことも忘れその涙で濡れた顔を見つめていた
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