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「選ばれしもの
今我らを救うため異界の地より来たまえ
勇者召喚!」
姫が血を垂らすことで光る魔法陣
この召喚の儀には王族の女性の血がなければならないのだ
輝き続ける魔法陣
周りは目を瞑っているが俺はこの高性能ローブのおかげで普通に見れる
光の粒子が勇者(仮)の形を作っていく
「なんで・・・あいつがっ!」
表れたのは俺がずっと追い続けていた顔
龍崎 紫苑
見た目はもちろん性格までがイケメンなやつだ
そして俺が好きだったやつ
でも俺が死んで15年はたった
なぜ今現れた
・・・そうか時間の流れか
あいつは俺のことが見えないからいいはずなのに、どうしても怖くなる
逃げようとする気持ちに鞭をうち平然を装う
大丈夫
俺はできるだろう
今まで何度もいろんな役をやって、顔を作るのなんて朝飯前じゃないか
今だけだ
もう会うことはない
光が収まりみんながそっちに注目しているのを見て1歩下がる
「あなたが勇者ですか?」
「勇者?なんのこと?というかここはどこ?」
疑問いっぱいというシオンに説明している間に部屋を出る
気づいたのはレイカーのものくらいだろう
「はぁ」
前に会長と来た庭の池のそばに座り、体を包むように抱え込む
どうしてあいつが・・・
まさかこっちに来るとは
震える体を慰めるようにより強く抱え込むがそれでも震えは止まらない
おれは変わったと思っていた
なのにあいつの顔を聞いただけで、声を聞いただけで自分の体を制御できないのが悔しい
どんなに体を鍛えても心までは鍛えられなかったようだ
違う世界にきて、家族も環境も変わって吹っ切ったと思ったのに
シオン・・・お前は俺をどうしたいんだ
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