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…………怖い!
佐伯主任に早く会いたくて、無我夢中だったから、高所恐怖症なんて忘れてた。
だけど体に染み付いた恐怖は、当然消えるわけもなく私を襲った。
この景色が目に入るから怖いんだ…。
それなら目を瞑ればいい。
深呼吸をして、目を閉じてみた。
ほら、もう怖くない……。
またゆっくりと歩き始める。
一歩、また一歩と、確かめるように足を進めていく。
佐伯主任に会いたい、ただそれだけでここまで来た。
だけど長いな……この吊り橋。
子供の頃はただ恐怖だけで、ただ泣きわめいて、イチにぃに抱きついてた。
もうそろそろ終わり……?
恐る恐る、目を開けてみた。
だけど、期待したほど足は進んでいなかったようで、目の前にはまたまだ続く吊り橋……。
もう、ダメ限界……。
立っていられなくなり、その場にズルズルと座り込んでしまった。
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