57人が本棚に入れています
本棚に追加
私に隠し事なんて、何だろう?
言葉で返事をする代わりに、イチにぃの腕の中でハッキリと頷いてみせた。
「俺はずっと前からまひろのことを見てきた。ずっとそばで守ってやりたかったんだ。小さくて、可愛くて、泣き虫で…。そんなお前が本当に好きだったんだ、俺」
"好きだったんだ"
それって、従妹としてじゃなくてって意味なの?
だったら、私たちお互いに…?
「今更だけどな。過去の話だ……昔話。だけど、ずっと言えずにいたから俺の中で燻ったままだったんだ。やっと言えてスッキリした」
この体勢じゃイチにぃの顔が見えないけど、声の様子からしてもきっと晴れやかな表情をしてるんだろうと思う。
「イチにぃ、私は………」
「ああ、いいよ。言わなくていい。お前の返事なら分かってるから。困らせたくなくて言えなかったんだからな。じゃあ最後まで言うなよって?もう時効だろ」
もう、自分だけスッキリしちゃって…。
最初のコメントを投稿しよう!