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「僕は帰ってくるよ。町役場に就職が決まったんだ」
「あら。そうなの。良かったね、就職決まって。おめでと」
今日はずっと貴方の事を考えていたのよ。そう思うとなぜか恥ずかしくて彼の顔をまともに見れなかった。あれほど顔を見たいと思っていたのに。だってまだ好きなんだもん!ずっとずっと好きだったんだもん!
気付くと私は泣いていた。彼の胸に顔をうずめて泣いていた。
「ごめんな。ごめんな、由美。改めて結婚してくれ」
彼はそう言って私をそっと抱きしめた。
私は泣きながら彼から体を離すと言ったの。
「だって、私達、別れたのよ!?どうして?私にはもう別の人がいるかもしれないのよ?」
祐二は笑っていた。とてもさわやかな笑顔で。
「だって僕はずっと由美が好きだったんだよ。由美だって、そうなんだよ」
根拠がないのに自信満々なのはなぜ?そう思ったけど私は黙って頷いていた。
「もう。お祭りらしい格好してきなさいよね」
私は照れ隠しで四年前と同じ事を言った。
「その浴衣も、君も全然変わらないね」
私は再び彼に抱きついた。
『ひゅ~~~っ ぱんっぱんっ!』
その瞬間、花火が上がった。花火の音を聞きながら二年半ぶりに彼とキスをした。
来年、彼と結婚するのっ!
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