121人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、ちょっとすっきりした俺はスラスラと問題を解くことが出来た。
「あざーっす、先生。」
「おー、気を付けて帰れよ。」
先生に挨拶して、準備室を出る。
『迷惑だなんて思ってないから』
先生にそう言ってもらえて、安心した自分がいる。嬉しい自分がいる。
なんで?
俺、どうしちゃったんだ?
「…………ホント図々しい。あんな噂流れて先生にどれだけ迷惑かけてるかなんて分かってないんだね。」
浮きだっていた俺。スキップでもしそうな所に、聞こえてきた低い声がそれを留まらせる。
「ーーーー三宮?」
いつからいたんだろう。曲がり角から、三宮がこっちを見ていた。
「どんな噂が流れたら、君は先生から離れるんだろうね。」
冷たい視線。凍りついてる表情。明らかに、俺は敵対されてる。
……………噂?
「ーーーーまさか、あの噂、お前が…………っ?」
「…………………。」
何も言わない、三宮。
だけど、微かに上げた右口角。その仕草が、肯定しているような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!