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さて……瀬十朗の方は葉真が抑えているから問題ない。今はとにかくこいつらに集中させる時間を与えず、時間を稼ぐことを第一目標とする。
私がさくらから奪った刀を抜くと、千代も扇子を開き、その目を私に向ける。
「我なんぞ一捻りじゃ」
「……言ってろ」
見た目は結さんに違いない……けど、私はそんなことで怯む程"甘くない"。それに恐らく二人の中で知恵者である千代を戦闘不能にすること大きな意味がある。
私は大きく息を吐くと、体に青い炎を、刀に赤い炎を灯し身構えた。
「主ら"スキルエンド"というのは一行しか使えんはずじゃ。して……主はどうかの?」
「……」
私は袋萩に入れた力を一気に解放し、身を低くしながらその切っ先を千代に向かわせた。しかし、千代は素早く扇子を閉じると柄で私の刀をいなす様に弾き返す。
ーーキィーン!
金属音が周囲に響く。
「……鉄扇」
軽く扇ぐ動作からは重さを感じさせない。それでも、結さんもこの鉄扇を持っていたことから、賀茂当主に伝わる武術なのかもしれない。
「"古武鉄扇術"じゃ。若いそなたには難解な技じゃろうて」
鉄扇術なんて古風な武術、見たことがあるわけないでしょう。
……でも、まぁだからと言って知識がない訳じゃない。鉄扇術は基本的に防衛技が多く、相手の力利用し、その力を利用して受け流すことを真髄とする武術だ。
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