第24話

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そんなことは百も承知だけど、それでも私は千代に向かって再度刀を振りかぶる。しかし、千代は見事に私の刀を流した。 「これで終わりと思うたか?護身術と高をくくった主の負けよ」 「なに……を?」 千代は意味深な笑みを浮かべ言葉を発した時だ。目の前が"縦"にぐるりと回り濁った空が見える。 「終わりじゃーー」 「ーーぐっ!?」 そして、空を視認した直後に前方から迫る掌底が顎に減り込み、そのまま地面に強く叩きつけられてしまった。 固い土壌に強く打ちつけられ、息さえまともにできない。でも、だからって相手が止まってくれる訳でも無く、痛む身体に鞭を打ちながら、私は千代から距離を取り再び刀を構えた。 「ひよっこめが」 でも……今のは何なのよ? 体が吸い寄せられた? 呼吸を整えつつ痛みを奥歯で噛み締め、千代がどのような攻撃をしてきたか考察するが検討も付かない。 「ほらどうした?来ぬならこちらから行くぞ」 千代は変わりなく好戦的な笑みを浮かべている。それも、自分の優位を核心し、優越感に浸る酷く腹の立つ笑みだ。 しかし、だからと言って向こうのペースに乗ってやる必要はない。私は大きく息を吸い込み、柄を握る手に力を込める。 千代は私の斬撃を往なし、その後に"何かした"……ならっ!! 私は三度、千代との距離を詰める。 「無駄じゃ無駄じゃ」 千代は私の刀が振り下ろされたと同時に手にする鉄扇の先端を私に向ける。そして刀と鉄扇が触れる刹那、千代は半弧を描くようにやんわりと鉄扇を操作し、私の剣撃の動きを導いていく。
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