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けどねーー
「武術ってのは"心技体"が揃ってこそなのよっ!!!!」
「なっ!?」
千代の本来の姿がどのようなものかはわからない。意識は千代でも体は別人の物だ。其れだけに、千代の反応が時折鈍るのを私は見逃さなかった。私はその隙を付き、千代の剣の根元に鏃を投げ、"刀の柄"で殴打した。
ーーキィーン!
よし!狙い通りだ!
鏃を楔とすることで千代の剣は折ることに成功した。
「くっ!」
「逃がさないっ!」
「がぁっ!!!!」
そして、武器を破壊されたために"一歩後退した"のが千代の間違いだ。私は右手に陰の炎を集中させ、力一杯、千代の右頬に炎拳をお見舞いした。
華奢な体躯の千代に私の殴打を防ぐ術はなく、激しく地面に体を打ちつけながら後方へと大きく吹き飛んでいった。
でも、私もそんなもので終わらせるつもりはない。私はすかさず背負う弓の弦を引いた。そして、私の手に握られてるのは炎の塊。
無論、形状は矢だ。
「終わりよ」
結さんの身体であることは理解している。だからといって私は"手加減なんてしない"。
炎で形成した矢を千代に放つ。
「くっ!じゃがそんなもの食らう道理も無い!」
「そうかしら?」
「なに……っ!?」
確かに一方向から来る攻撃なんて、ましてや、一点に収束された攻撃なんて態勢を崩していようが避けるのは容易だ。
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