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「ぐあぁぁぁっ!!!!!!」
確かに千代は炎を消したかもしれない。けど、なにも炎の矢を放った訳じゃない。
炎を纏った矢を放ったんだ。
火を水で消せても宿姉さんの力は消せない。
鉄扇を抜けた刀に見せた炎の塊とこの矢も同様と勘違いした事が何故悪いと気付かないのか。まぁ、そう思わせるような攻撃にしたんだけどね。
「くそ!"力さえあれば主など相手ではない"のに」
それに、千代の言っていることはきっと正しい。力が解放された陰陽師当主に私の力が通じるとは思えない。
千代は陰陽の力を殆ど使わなくてもここまで戦えたのはその戦闘経験の豊富さだ。そこに異能の力が加わるとなると正直ぞっとする。
「くそっ!まだじゃっ」
「はぁ…存外元気ね。でも"今の内に仕留めさせてもらうわ"。力を扱えるような時間なんて与えるわけ無いじゃない。世の中そんなに甘くないのよ」
「小娘がっ!!」
「さようなら」
私が指を弾くと矢に火が灯る。そして、その火は千代を拘束する嘉穂さんの木に引火し、轟々と音を上げながら燃え盛った。
「あ…灯さん。やりすぎでは……?」
「動けないようにしろっていったのはあの馬鹿よ。だから私はそうしたまで。それに、あれくらいなら死なないし"SPの施設があれば治療できる"」
それにこっちだって何本か骨を持ってかれてんのよ。これくらいしないと"気がすまない"っての。
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