第24話

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「千代の記憶もその細胞記憶ってやつなの?」 「あぁ、陰陽師もスキルエンドも力の源は同じなんだよ。ただそれを顕現する手段が違うだけだ。 でも、その細胞を作り上げたのは遺伝じゃない。陰陽師は安倍清明が持つ神通力を使って、強制的に"自身の記憶を細胞に刷り込ませるように身体を作り変えた"んだ。灯ちゃんが納得したいのなら遺伝子組み換えってやつだよ」 「ちょ、ちょっと待ってよ!そんなこと可能なわけーー」 「--可能にしちまうからこそ陰陽師の始祖は"恐れられた"んだ。それはもう人の理から外れちまってんだよーー」 そんなこと言われても納得できる訳がない。人の身体は未だに未知の巣窟だってのに……それを可能にしただなんて非現実的すぎる。 「ーーとにかく、だ。俺と結との間で、スキルエンドが起こす記憶の混濁状態と似た状況を作り上げ、"潜在する千代の意識を俺に引っ張るんだ"」 「記憶野を共有するってこと?」 「そうだ、正確には短期記憶扱いである千代の存在が海馬に居座ってるんだが、そいつを引き抜く。気を失ってる今なら比較的簡単にできるはずだ。 それに"灯ちゃんが心配してる俺のことだけど"そっちも心配ない。俺は印を持たないからな。わかったら離れてくれ」 ふと、葉真を見ると以前として瀬十朗と交戦中だ。 もし、彼なら源を止めただろうか? ……いや、止めるに決まっている。 "堅物源という人格が崩壊し兼ねない行動なのだから"。
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