第24話

21/34
前へ
/430ページ
次へ
***葉真.side*** 何度か攻防を繰り返してわかったことがある。"瀬十朗は対して強くない"。 確かに底知れない気迫みたいな物は感じるが、少なくとも今の瀬十郎からは、クレンや宿さんから感じた化物染みた威圧感は感じないし、唯と対峙した時より緊張もない。仮に、これが瀬十朗の"一部の実力だとしても今の俺だったらやり合えない相手じゃない"。 瀬十郎は俺との距離を詰められないように小規模な陰陽術を使っては距離を保つように努めているが、何を考えているのか俺でもわかる戦法だ。でも、そこまでして瀬十朗は"時間を稼ぎたい"のか。 ……正直、めんどうだ。 「主は何者じゃ?」 「……源と勘九朗の友達だ。それに、そんな事はお前に関係ない」 「あのような者と友とな?笑わせるわ」 「……お前、勘九朗から出ていけよ。まだ"時期じゃない"とか言ってただろ?」 「それこそ主には関係ないことよのう」 「もういい。言葉遊びがしたいのか?そんな歳でもないだろうし、さっさと終わらせよう」 「はん、挑発には乗らんわ」 「そうかよ、んじゃお喋りしてやる。陰陽が使える陰陽師を作ったのは"進藤月歩"か?」 勿論、こんな質問に瀬十郎が答えるとは思っていない。でも、月歩の名を口にしたとき、瀬十郎の口元が微かに反応したんだ。
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加