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それに、俺は多くを殺した。
殺しすぎた。
賀茂の里に残っていたやつらの殆どが千代の息に掛かったやつらであることは間違いない。見知った顔も少なくはないからな。
けど、"殆ど"なんだ。
中には、陰陽師の闇を知らない者もいた……けど、俺はその歴史を終わらせる為に、そして、勘九郎と唯を助ける為に、"大多数を殺し少数の犠牲を許容"した。
そんな俺の我儘で死んだ人間がいるこの世界で生きてく権利なんてあるとは思えない。
この先、今迄みたいに大好きな奴らと過ごしていけるなんて思ったら…駄目なんだよ。
……笑えるだろ?
葉真の言葉が、葉真の声が、葉真の表情が、そんな甘い考えを空っぽだった俺の心を満たしてくれるんだ。
俺は祝詞を唱えつつ、ふと葉真に視線を流す。すると、あろうことか子供みたいな笑顔で頷きやがるんだよ。
その瞳が語りやがるんだ。
「俺はお前を信じてるからな!」ってな。
くそ……まじで葉真はずるい。
けど……葉真っちの親友になれてよかったーー。
「ーーっ!!!!!!!!」
……そんな事を考えた罰か?
もしかしたらこの先、葉真と笑って喧嘩して、ただなんでもない毎日を送る……そんな明るい未来が俺にもあるんじゃないかって思ってしまった報いなのか?
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