深夜0時の3-B教室

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とにかく、悪友に一杯食わされた憂さ晴らしがしたい。 一番前の机を音を立てないように持ち上げると、先ほどの人体模型の首の乗った机の隣に、少しだけ隙間を開けて、そっと置いた。 野球帽をかぶった首を倒さないように、同じ位置になるように慎重に、机と机の間に体を押しいれた。 机の間から首だけを出し、首の脇までぴたりと机を寄せて、膝を、ひんやりしたタイルの床に下ろした。 いつでも来い!とばかりに扉を睨みつけると、山田に肩透かしを食らった気分が、幾分か晴れ、ちょっとばかりこの状況が、楽しくなってきた。 恐らく、この暗闇の中なら、生首が机の上に二つあるようにみえるはずだ。 ひたひたと近づく足音が、この教室の前で止まる。 ―――― いよいよだ。 そいつが、扉を開けて驚く様子をしっかりと眺めてやろうじゃないか。 ――― カタッ。 扉の隙間から、指先が見えて、長い指が第二間接で指を曲げ、扉の淵を掴んだ。 笑いをこらえながら、僕は、戸の先を見つめる。 からからからと、レールの上を扉が滑っていく音が響いた。
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