深夜0時の3-B教室

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教室の戸を開けたら、そこには人の生首があった。 「ひいっ!」と、悲鳴を上げてしまった僕は、慌てて口元を抑えて、早鐘を打つ心臓を黙らせた。 僕の悲鳴が静まり返った教室の中で、木魂となって耳の奥へと舞い戻ってくる。 深夜0時の学校へと、同じクラスの山田に呼び出され、3年B組である、僕の教室の戸を開いた。 こんな時間には、学校の中には誰もいないが、僕の悲鳴を聞いて、学校のご近所に住む親切な人が、闖入者を通報するとも限らない。 教室の施錠も忘れてしまう警備員のおっさんが、珍しくやる気を出してしまう可能性だってある。 何より僕を呼び出した山田に、情けない悲鳴を聞かれるなんて、かっこ悪いし、山田が入手したというエロい動画観賞を、普段通う教室でするなんて、そうそうないスリルな体験を、誰かに邪魔されたくはなかった。 まだ心臓が暴走したままだけれど、扉の目の前に置かれた机の上にある塊を、間近で見ようと恐る恐る近づいてみることにする。 その存在が本物なのかを知らなければならない。いや知りたい。本当に血なまぐさい生首なのかを。
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