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ロッカーの中や、臭い雑巾がぶらさがる清掃用具入れまで、ありとあらゆる場所を探したけれど、山田の姿は見当たらない。
月明かりが照らしてる教室は、夏休みが終わったばかりだといっても、深夜だからか肌寒い。半袖の学校指定のYシャツを着た学生服姿の僕は、ちょっとトリハダを立てている。
両手で二の腕をさすりながら、「やまだーー?どこだよー?」と、仕方なしに、小声で尋ねたが、返事は一向に戻っては来なかった。
「人を呼び出しておいて、学校にいないとは、どういうことだよ」
人知れず文句を言っても、今度は蝉さえも応えてはくれなくて、いつの間にか夏の声は聞こえなくなっていた。
山田に電話をかける。だが電話に出ない。
SNSに、学校着いたけど。お前どこにいるんだよ?と、メッセージを入れたが、山田は一向に既読をつけない。
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