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「あの野郎、呼び出しといて寝ちゃったのかよ」
わざわざ深夜にやってきたというのに、バカにするにもほどがある。
いらだちながら返信を待っていると、
ふっと既読が付き「ばーか」と、山田は、一言書きこんだ。
その途端、僕の頭の中でバチンと火花が弾けた。
最初から、僕を誘ったエロ動画の話も、全てが釣りだったと合点した。
山田に電話をかけると、電波が届かないところに電話があることを告げる、至極冷静な女の声が戻ってきた。
エロで釣られた僕がバカなんだが、あの山田にまんまと嵌められたことが何より悔しい。
そして、童貞の山田が、そんなお宝持ってるなんて信じた僕を殺してやりたい。
「くそ!」
山田の席の椅子を思いっきり蹴ると、ガタ――ン!と、派手な音を起てて床に倒れた。
教室の空気を引き裂き、音が反響する隙間に入りこむように、下敷きで机をパタパタ叩くような音がすることに気づいた。
階段をのぼってくる足音だ。
だんだんと音が、大きくなってゆく。立ち止まる様子はなく、進むべき目標を定めているようだった。
恐らく、真夜中の学校にいてはいけない人物が、いることを、知られてしまったのだ。
学校に誰かがいることに気づいた僕は、そいつを驚かしてやろうと、考えた。
先生や、宿直の警備員のおっさんでもいい。
怒られるかもなんて考えは二の次で、いつもふんぞり返ってる大人が、悲鳴を上げる姿を見たかった。
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