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『まさか……兄妹?』
この展開はさすがの中将も予想ができなかったのか、口を開けたまま唖然としている。
『毎日梓にも言われているだろう、姫としてしとやかに振る舞えと!なのに、この前と今日で全く進歩がないではないか!』
『だって、貞行(さだゆき)お兄様……』
しばらく貞行の威圧に押されていた桃だったが、やがて渋々口を開いた。
『お兄様だって、昔はたくさん桃と遊んでくれたでしょ?ほら、蹴鞠(けまり)とかして……』
そこで貞行が大声を出す。
『昔と今は違う、お前は今は"左大臣家の長女"なのだか……』
だが、何故かそこまで口にして、貞行はハッと思い出したのか慌てて口を押さえた。
『すまぬ……つい口が滑った』
『貞行様?』
『お兄様……』
そして、悲しそうに桃から目を逸らした貞行が心配になり、桃は思わず声を掛けた。
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