第3話 七つ詣で

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 みなさんは『通りゃんせ』という童謡を知っていますか。  むかしは7歳になるまでの子供は神様に守られていると信じられていました。  なので、7歳の誕生日になると天神さまに今までお守りくださったことを感謝しに行くんです。  でも、その帰りはもう神様はついていません。 『行きはよいよい 帰りは怖い』というのはそういう意味です。  厳しいこの世で、しっかりと自分の足で生きていかねばなりません。  7歳にもなれば、自分のことは自分でできるよねということなのです。  この村にも同じような風習があります。  7歳になったとき、天神さまのお社で一晩過ごす「七つ(もう)で」という儀式です。  むかしはたったひとりで過ごさなくてはならなかったそうですが、今では付き添いの大人がお社の前で待っていなくてはならないという決まりがあります。  でも、一晩なんて長いですよね。  今では一時間でも一分でもよいとされています。  けれども、必ずやらなくてはならないということではありません。  そのむかし、この村にはこんな風習があったんだよというのを知っておいてほしいのです。
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