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遥人は車に乗り込むと、疲れ切ってなにも考えることなくすぐに眠ってしまった。
気づくと朝で、ベッドの上で寝ていた。
昨晩のことが頭をよぎる。
夢なんかじゃない。
女を突き飛ばした手応えが忘れられず、怖くてしかたなかった。
あの女はどうなっただろうか。
「お母さん……」
「よく眠れた? もう心配かけるようなことしないでね」
そういっている母も、どこか疲れたようだった。
それから、何日かが経ち、またクラスメイトの一人が誕生日を迎え、みんなに祝福された。
彼は村長の孫なので「七つ詣で」を親族そろってやったという。
死体が転がっていたという騒ぎは起こらなかった。
お社で出会った女がどうなったのか、遥人が耳にすることはなかった。
※
あの女は物の怪のたぐいであったのか。
それとも……。
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