第3話 七つ詣で

8/8
前へ
/103ページ
次へ
 遥人は車に乗り込むと、疲れ切ってなにも考えることなくすぐに眠ってしまった。  気づくと朝で、ベッドの上で寝ていた。  昨晩のことが頭をよぎる。  夢なんかじゃない。  女を突き飛ばした手応えが忘れられず、怖くてしかたなかった。  あの女はどうなっただろうか。 「お母さん……」 「よく眠れた? もう心配かけるようなことしないでね」  そういっている母も、どこか疲れたようだった。  それから、何日かが経ち、またクラスメイトの一人が誕生日を迎え、みんなに祝福された。  彼は村長の孫なので「七つ詣で」を親族そろってやったという。  死体が転がっていたという騒ぎは起こらなかった。  お社で出会った女がどうなったのか、遥人が耳にすることはなかった。    ※  あの女は(もの)()のたぐいであったのか。  それとも……。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加