第4話 仲間に入れてとあなたはいう

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「怒られるといけないから早く撮ろう」  直美はそういってスマホを取り出した。 「このへんでいいかな」  彼女たちは顔をよせ合って自撮りした。 「どんなかんじ?」  由羽が聞くと、直美は画面を見せた。 「なんかフラッシュで顔テカりすぎ」  紗菜がそういって笑うと、千恵は画面を指さした。 「いや、そんなことより、これ」 「え? 窓になんかうつってる?」 「ちょっと、直美! へんなアプリ仕込んだでしょ」  責め立てられた直美はそんなわけないじゃんと否定する。 「じゃあ、由羽ちゃんのスマホでとろうよ」  由羽も自分のスマホを取り出して同じように撮影した。 「ちょっと、普通すぎ」 「なんでがっかりされるのよ」 「ねぇ、今度はわたし。自撮り棒あるし」  紗菜もスマホを取り出して、長い棒の先にスマホを取り付けて撮影した。  そして、千恵は人の顔が血みどろになるアプリで撮影したり、写真を交換したり、一通り撮影会が終わったときだ。  一瞬、なにかが通りかかったようにシンと静まりかえった。 「……そろそろ帰ろうよ」  直美がいうと、ほかの4人は同意した。  ひとけのない静かすぎる学校は、思いのほか居心地が悪く、暗い空間を凝視していると、なにものかが出てきそうで怖かった。  スマホをバッグにしまっていると、小さな声がどこかから聞こえてきた。 『ねぇ、わたし、まだとってないよ……』  彼女たちは思わず顔を見合わせた。 「え? なに?」 「遠くの声が響いてるんじゃない?」 「やだ、早く帰ろ」  彼女たちはだれにも後れを取りたくなくて、横一列になってかけだしていた。
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