第6話 猫の島

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 友梨亜の記憶が確かなら、今回で9回目の生まれ変わりだった。  何度目の生まれ変わりだったかは、自分が名乗った名前を思い出すのが手っ取り早い。  テレサ、ウタコ、クワン、スー、チョバン……。  世界のいろんな国で育ってきたけれど、自分と同じ生まれ変わりに出会ったことはなかった。  前世を語るとなぜか気味悪がられたし、ウソつきといわれるし、いいことはなにもない。  だから、つまらなくなってあるとき天才少女になりきってみたことがある。  三歳で前世の記憶を取り戻すと、三歳児とは思えぬ驚異的な学力で世間をわかせ、十歳で大学に入学した。  でも、それだけだった。  おとなになってしまえば平均的な学力でしかなかったから。  天才ギター少年だとか、天才卓球少女も、もしかしたら自分と同じ生まれ変わりなのではないとか思うことがある。  天才子役など、あからさまに大成しないといわれているではないか。  一度おとなを体験した人間がこどもに戻れば天才的に見える。  けれどもおとなになれば凡人。  本質は転生しても変わらない。  だから、自分以外にも生まれ変わりはいると期待したが、噂でも耳にすることはなかった。
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