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第3話 七つ詣で
朝のホームルームで遥人の名前が呼ばれた。
この地区に住む者なら誰もが経験する通過儀礼だ。
ガチガチに緊張しながら、担任の八代先生にうながされて教卓の前に立つ。
「今日、お誕生日を迎えたのは深津遥人くんです。おめでとう」
華々しく先生が言うと、13人のクラスメイトは拍手しておめでとうと祝福してくれた。
遥人は拍手が鳴り止むのを待ち、家でしっかりと復唱してきた言葉を口にした。
「ありがとうございます。この村の一員として恥じないような、しっかりとした大人になりなります」
すでに誕生日を迎えたほかのクラスメイトの言葉をかりただけだったが、みんなはまた拍手をしてくれた。
この村では7歳になるとようやく村の一員として認められるという、古くからの風習があった。
もちろんそれは今となっては厳密なしきたりというのではなくなっている。
生まれたときからこの村の一員だし、公的な福祉もちゃんと受けられるが、1年生を受け持つ先生が7歳になる児童を祝ってあげるというのもまた、この小学校の古くからのならわしとなっていた。
今年1年生を受け持つ八代先生もこの村の生まれである。
八代先生はクラスで一番始めに7歳になる児童の誕生日に、この村の風習について語った。
八代先生もまた、1年生のときに担任教師から同じ話を聞かされている。
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