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そしたら、彗君は、さっきまで、緩めていた手を、さらに強くして、私を抱き締めた。
「ありがとう!!
本当に……いいの!?
めっちゃ、嬉しい!!
君、名前は?」
彗君は、そう言って、微笑んで、私の顔を覗き込んだ。
「……あっ……うん。
だって……彗君に頼まれたら……断れないよ……。
わ……私の名前は、菜海……安藤 菜海だよ。」
私は、なんだか、急に、恥ずかしくなって、うつむき加減に言った。
「なみ……どういう漢字?」
「菜の花の菜に海で菜海だよ。」
「可愛い名前だな。
じゃあ……俺と菜海は、今から、偽りの恋人な!!」
彗君は、そう言ってウィンクした。
偽りの恋人……。
出来ることなら、本当の恋人になりたいけど……そんなの無理だよね……。
私は、そう心の中で呟きながら、頷いた。
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