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数分後、また、誰もいないか確認しながら、走った。
彗君に握られてる手を見つめると、ドキドキが止まらなかった。
今日、初めて会った私を、彗君は、好きだ!なんて言ってくれないよね……。
でも……嘘でもいいから……好きって言ってほしい……なんて、だんだん、私の中に、欲が出てきた。
隠れる様に、何度も抱き締められる度、そんな気持ちが芽生えていた。
そして、また、誰か人が来たから隠れた6回目……私の欲が……叶っちゃたの……。
さっきまでと同じように、隠れる様に抱き締められた時……彗君が、私の耳元で言ったの。
「……なぁ……菜海……。
キスしていい?」
えっ?
一瞬、時が止まった気がした。
だって……大好きな彗君にキスしていい?って言われたら、夢を見てるんじゃないか?って思うでしょ?
私は、ドキドキして、顔を真っ赤にしながら、心の中で呟いて、彗君を、じっと見つめた。
「……俺とキスすんの……イヤ?」
考え込んで、何も言わない私に、彗君が、そう聞きながら、私の顔を覗き込んできた。
その顔が、また、色っぽくて、ドキドキした。
「……イヤなわけない……。
だって……私……ずっと……彗君が好きだったから!!」
私が、そう言うと、彗君は、クスッと笑って、私の顎をクイッと持ち上げて、キスしてきた。
嘘……嘘……私……今、彗君とキスしてる?
私は、何が何だか分からなくて、目を見開いたまま、キスを受け入れた。
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