第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
視線を感じる。 前に座っている少女からだ。 その視線の先には俺の右手。 「……ここ、禁煙ですよ」 “禁煙”と書かれた貼り紙を指差して少女が言った。 俺は笑いながら口を開ける。 「いーの、いーの。ルールは破るためにあるんだから」 少女のこめかみにシワが寄った。 「何つまらない言い訳しているんですか」 思わず目を見開いってしまった。 イライラしていたのも吹き飛んだ。 ____何言い訳してんだよ。 さっき、会社で思ったことを思い出す。 「ははっ」 まさか、俺がいわれるなんてな。 「ねぇ、お嬢ちゃん明日もここに来る?」 突然の質問にか、少女の瞳には戸惑いの色が出ていた。 たまにここで見かける少女。 彼女に明日も会いたいと言ったら、どんな表情をするのだろうか。 もっとたくさんの表情を見てみたいな。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加