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視線を感じる。
前に座っている少女からだ。
その視線の先には俺の右手。
「……ここ、禁煙ですよ」
“禁煙”と書かれた貼り紙を指差して少女が言った。
俺は笑いながら口を開ける。
「いーの、いーの。ルールは破るためにあるんだから」
少女のこめかみにシワが寄った。
「何つまらない言い訳しているんですか」
思わず目を見開いってしまった。
イライラしていたのも吹き飛んだ。
____何言い訳してんだよ。
さっき、会社で思ったことを思い出す。
「ははっ」
まさか、俺がいわれるなんてな。
「ねぇ、お嬢ちゃん明日もここに来る?」
突然の質問にか、少女の瞳には戸惑いの色が出ていた。
たまにここで見かける少女。
彼女に明日も会いたいと言ったら、どんな表情をするのだろうか。
もっとたくさんの表情を見てみたいな。
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