1 高田

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「おい」 高田は銃の引き金に指をかけたまま、暗闇に向かって問う。 何があったのか、何が起こっているのか、まったくわからない。 すると、視界の中にその男が帰ってきた。 よろよろとだが、自分の足で立って、まっすぐの廊下の真ん中を歩いてくる。 「おい、何があった」 高田が問えば、 「――た、助けてくれ」 男が弾けるようにこちらに向かって駆け出してきた。 「おいなんだ、どうした!」 倒れこむ男を抱きかかえるように支えて、高田は問う。 「何があった、どうした!」 その男の背中に、丸い物がくっついていた。
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