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その時、バタバタと足音を鳴らして、黒ずくめの男の集団が現場に姿を現した。
鑑識の連中かと顔をあげたが、違う。
中のひとりが声高に声をあげる。
「このまま現場保存する。関係ない者は外に出ろ」
まがりなりにも警察の、組織犯罪対策課の谷口にまで、
「出て行け」
その威圧的な態度を変えず言う。
男の顔に、谷口は見覚えがあった。
「篠島か」
篠島は、血まみれの死体の脇に佇んでいる谷口を見咎めて、ふっと鼻をならす。
「ここは俺たちのヤマだ。出て行ってもらおう」
篠島は麻薬取締官。
麻薬取締部は厚生労働省に所属していて、警察とは管轄が違う。
「ヤクがらみは手ぇ出すなってか」
どちらが偉いというわけでもないが、特別合同捜査本部が組まれるまでは、現場では麻薬取締局の捜査権が優先される。
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