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「俺たちは、お前らを根本的に信用してはいない」
篠島は言った。
「んだとお。こちとら刑事だぞ」
谷口は反射で怒鳴り返したが、
「胸に手をあてて考えてみたらどうだ?」
篠島の口角は、皮肉を言うときのように斜めに歪んであがっている。
「ちっ」
谷口は舌打ちした。
篠島が言っているのは、少し前に警視庁を席巻した噂話のことだ。
押収した薬物の一部が姿を消す。
現場で確認した量と、記録として残る薬物の量が違っている。
根も葉もない噂だと、谷口たちは笑い飛ばしたが、現実に公安の査察が入っている。
麻薬取締官が知らない道理がない。
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