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3 李(リー)
応接室に、招いた覚えもないのに、その男が平然と座っていても、李秀英(リーシゥイン)は驚かなかった。
「是好的工作(いい仕事でした)狼先生」
それでもつい母国語で言ってしまったのは、ここが自宅だからだろうか。
慌てて、その男の容姿を見て言い直す。
「It was good work. Mr. Voltchkov」
男の容姿は、茶色い髪に透けるような白い肌。
背の高いスマートな肢体に英国製のダークスーツを品良く身につけ、高級なソファーに足を組んで座っている。
中国人ではない。
だがその男は、
「俺はアメリカ人ではなくロシア人だ。ここは日本なのだから、お互い日本語でいこう」
流暢な日本語を話した。
「わかりました、ミスターヴォルコフ」
リーも落ち着いて返す。
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