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「今夜は好きなだけ飲んで食ってください」
高田は笑みを浮かべて、
「乾杯」
とグラスをあげる。
ここでメンバーを満足させることは、さらなる業績アップにつながり、高田の地位もあげる。
集ったメンバーも高田に従い、それぞれのグラスをあげた。
どの顔も、高田の本心を知りつつ気がついていないフリをする。
さんざな狸だ。
地方とはいえ、宇田川興産の運営資金をまかなっているのは自分たちだというプライドを持ち、それなりに野心と、中央への進出を虎視眈々と狙うメンバー。
集ってはいるが、今は敵ではないというだけの間柄。
その腹にイチモツもニモツも抱えながら、そんなことはおくびにも出さず、グラスの縁を打ち付けあった。
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