第1章

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学校からの帰り道、いつも一人でバスを待つ。 誰もいないバス停で、一人静かに本を読む。 「珍しいっ、今日は人がいる」 無邪気に笑った彼のことを知っていた。 「君確か、図書委員の子だよね。いつもカウンターとか本の整頓とか花瓶の水とか図書室で仕事、頑張ってる子」 驚いたのは、彼も私を知っていたこと。 「俺、図書室よく行くんだ」 少し距離を空けて、私の隣に腰を下ろした。 「いつもここから、バスに乗るんですか?」 沈黙が嫌で、手当たり次第に言葉を繋げた。 「うん。だけど始めて会ったね。俺部活してるんだ。今日はオフでいつものより二本早いの」 「それで会わなかったんですね。私、部活してないから」 「そっかー、それでか」 どうしよう。 心臓が、破裂しそう。 この距離も、たまの沈黙も、もどかしいのに嬉しくて。 次にここで会ったなら、この距離ももう少し縮まるだろうかなんてこの次を、考えてしまう私がいた。
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