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学校からの帰り道、いつも一人でバスを待つ。
誰もいないバス停で、一人静かに本を読む。
「珍しいっ、今日は人がいる」
無邪気に笑った彼のことを知っていた。
「君確か、図書委員の子だよね。いつもカウンターとか本の整頓とか花瓶の水とか図書室で仕事、頑張ってる子」
驚いたのは、彼も私を知っていたこと。
「俺、図書室よく行くんだ」
少し距離を空けて、私の隣に腰を下ろした。
「いつもここから、バスに乗るんですか?」
沈黙が嫌で、手当たり次第に言葉を繋げた。
「うん。だけど始めて会ったね。俺部活してるんだ。今日はオフでいつものより二本早いの」
「それで会わなかったんですね。私、部活してないから」
「そっかー、それでか」
どうしよう。
心臓が、破裂しそう。
この距離も、たまの沈黙も、もどかしいのに嬉しくて。
次にここで会ったなら、この距離ももう少し縮まるだろうかなんてこの次を、考えてしまう私がいた。
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