第1章

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 爽やかな風に誘われて、森の中を散策していると――。  不意にサァサァと小雨が降ってきた。 小雨とはいえ、このままだと風邪を引いてしまう。 辺りを見渡すと、齢三千年と云った感じの神々しさのある大きな樹があった。  その神々しい樹に恭しく頭を下げ、雨宿りをさせて貰う。 しばらくすると、雨が降っているにも関わらず、木洩れ日が差し込んできた。  その木洩れ日からユラユラと白い霧が漂ってきた。  その霧は段々と人のような形になっていく。  何とも不思議な光景だ。  それは、次第に美しい少女の姿になった。 ただ美しいのではなく――。儚く、神々しい。  その少女を食い入るように見ていると、いきなり少女は消えた。 呆然としながらも、先ほどまで少女がいた場所を目に焼き付けようと、じっと見つめ続けていた。
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